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プロが説くアパート経営

プロが説くアパート経営

~そのアパート経営、ちょっと待ってください。経営難が続く愛媛のアパート投資~

第1章 利回りだけで判断するのは危険 ▼

利回りだけで判断すると失敗する

 先日、私のスマホに勧誘電話がかかってきました。最近のスマホってすごいですよね~特に何も登録していないのに、迷惑電話って表示されるんです。この時点で、不動産投資の勧誘電話だなと確信したのですが。
 さて、先日ある家主様から弊社に相談の連絡が入りました。その方はサラリーマンオーナー様なのですが、購入時価格が(諸経費含)約2億円ほどの築28年の大阪市内の投資用中古マンションを大阪の不動産業者で購入されました。お勤め先が上場企業という事もあり、金融機関側でも自宅不動産を担保に入れる事で融資を実行。満室時想定家賃は年間約1900万円(利回り10%超)。借入金利も2.6%という事もあり、15年で完済を目指してしたようです。
 
1年目は満室で年間経費を差し引き170万円ほどの収益があったようです。ところが、3年目を迎えたところで、15部屋中3部屋の空室が生まれ入居率が85%にDOWN。年間で350万円のマイナスになってしまいました。つまり2年間の貯金がほぼゼロという事になってしまったのです。管理会社の担当者から一部屋当たり5000円の家賃を下げる提案があったようです。ひとまず満室を目指すために渋々承諾。程なくして2部屋決まり、空室は1部屋となりました。管理会社スタッフも頑張ってくれたようですが、時期が時期だけに満室にならず、結果2部屋の家賃DOWNの影響もあり空室が1部屋だけにもかかわらず、4年目もマイナス40万円となってしまいました。さらに、悪いことは重なり、32年目を迎えて外壁の劣化がひどくなり、管理会社より補修提案を受けました。その補修費用も値切って何とか720万円まで下げてもらいましたが、ご自身がお勤めで貯蓄してきた預金を崩し、リフォームを敢行。そして地獄の5年目を迎えたわけです。

5年目に入り、昨年入ったばかりの入居者が1年足らずで退去。さらにもう1部屋退去が発生したのですが、その部屋の原状回復費が何と65万円にも。理由は規約違反のペット(猫)を無断で飼育していたようで、部屋全体が傷だらけ。6年以上入居されていて原状回復のガイドラインによるリフォーム代の負担増もあり、結局5年目は600万円近いマイナスとなり、老後の貯蓄を使い切ってしまったところで苦渋の決断。これ以上の物件所有は、更なる赤字を増やすだけであるとの判断から売却することになったのです。ご主人様はそれでもなお、経営を続けたいとおっしゃっていたようですが、さすがに奥様も怒り心頭といったご様子でした。

ところがいざ売却となると、購入時価格では引き合いもなく、最終的には値引き+売却経費+銀行返済等で2,000万円もの借金を背負ってしまい、抵当に入れていた自宅をも売却するという最悪の結果と
なったのです。

この事例は何も特別なことではなく、実際物件の良し悪しや市場性を十分調査せず利回りだけで判断しているオーナー様のほとんどの方は失敗をされています。利回りが良いという事は、逆を言えば物件力が低下して売買価格が下げられ一時的に利回りが良くなっているに過ぎません。また、不動産業者の中には、売るためだけに一時的に満室にして、収益性をアピールして強引に販売するケースも見受けられます。賃貸経営は非常に難しいという事を理解した上で投資するかどうかの判断をすべきです。資産分用で比較される株取引より賃貸不動産経営は安全である等、年金の足しにと言った甘い謳い文句に騙されない事が大事です。

第2章 賃貸経営本の書籍は信頼に値しない?! ▼

賃貸経営本の書籍は信頼に値しない?
  
 最近の事ですが、本屋さんにいくとアパート経営必勝法であったり、老後のゆとりある生活のための不動産投資といった本が乱立しています。このあたりで記載されている内容の多くは、お得な物件を仕入れてプチリフォームで費用対効果を考えるといった内容や利回りを計算した不動産購入という首都圏(東京)の不動産価値を前提とした内容のものです。

ところが、地方(特に愛媛県松山市)においては、全国的にも稀な入居率の低さ+家賃の安さともいわれており、その指数は、沖縄県那覇市に次ぐと言われています。逆を言えば、借り手には優しいという事も言えます。

 では、さらに田舎のほうに行くとどうかと言われると・・・実は愛媛県内でも田舎に行くほうが賃貸相場は強めで、家主主導という事が言えます。投資比率が高くないという事、そして地価が低く相続発生時における税金がさほどかからないという事も投資が促進されず、供給過多になっていないという事が言えます。

愛媛県の県庁所在地松山市においては、明らかな賃貸物件の供給過多が続いており、今後の人口減も加わり、低家賃帯が解消される可能性は低いと言われています。

さて、賃貸経営に関する書籍がなぜ愛媛県においては通用しないのか?それは物件の仕入れ額と家賃収益に大きな隔たりがあるからです。建物の価値自体は都会も地方もほとんど変わりませんが、土地の価値は大きく異なってきます。交通網が発達していて移動手段に困らないプラス建築制限の厳しくない都会の住宅事情では、さほど共用スペースや駐車場と言われる用地を必要としません。ところが、地方の移動手段はそのほとんどが自家用車です。つまり、戸数分駐車スペースが必要になります。地方の地価は安くても用地面積は首都圏の3倍以上必要なケースが多く、結果、総合的に地方の物件より少しだけ割高な程度で済むことが多いのです。しかし、家賃格差は倍以上ありますし、入居率平均も差がある・・・家賃を下げるれば短期間で入居率が上がる首都圏に比べて、地方では家賃の値下げだけでは入居率は上がらない(つまり設備UPやリフォームが前提となり多額の費用が掛かる)という状況になってきています。
また、中古物件のほうが購入直後の減価償却が大きくアパート経営の経費に役立つと紹介されていますが、物件選択激戦地の愛媛県においては、売買物件も都会に比べると賃料収入が低いゆえに安価に収益物件取得できることが多いです。建物価格が安価であるということは、減価償却の価格も低くなり、仮に築22年以上経過した物件(減価償却4年)を格安で購入してもその大半は経費化できない土地の価格ということになり、建物価格で4年の短期減価償却が可能であるにも関わらず、1年間の償却額は相当に低いということにもなります。

満室経営という類の書籍が参考になるのではなく、むしろ家主の知識を固着化させてしまい、結果都会では成功しても、田舎では不動産経営で失敗する・・・実はこれが現実なのです。

第3章 入居率を左右するのは管理会社の斡旋力 ▼

入居率を左右するのは管理会社の斡旋力

最近、フリーペーパーに商品案内掲載をお願いするにあたり、全国でも最も賃貸経営の厳しい都市ともいわれる松山市がいったいどのような現状化に置かれているのかマーケティング調査を行いましたが・・・
弊社スタッフの調査(松山市内中心部より半径6km以内)では、市内の集合マンション・アパートの大方1割強の空室が確認できています。特に築年数が古くなるにつれその入居率の減少は著しく、中には入居率2割といったアパートも確認できたぐらいです。
入居率をいかに上げていくか・・・収益を維持するための絶対条件であり、そのカギを握るのが斡旋力のある不動産業者選びという事になります。特に賃貸物件においては、管理会社の専任募集とオーナー自主管理で一般媒介として不動産業者の仲介が入る場合の2パターンに分類されます。建物に不動産募集看板がたくさん張ってあるのが大方オーナー自主管理物件といえるかと思いますが、一見たくさんの不動産業者からの斡旋が期待できる&管理会社に管理料(毎月家賃の5%~10%)を支払わなくてよいオーナー自主管理の方がアパート経営がうまくいくのでは?という質問が寄せられますが、松山市における現状はその逆です。
管理会社としては紹介の優先順位があり、まず最初に自社所有物件、次に自社管理物件、そして最後に一般オーナー管理物件となります(一部例外もございますが)。その流れで申しますと、そのほとんどは自社管理物件で決まってしまいます。しかも、仮に一般オーナー物件に紹介があった場合でも、その依頼主の質の問題(自社管理物件に都合上紹介が厳しい依頼主を紹介する)もあり、結果、収益悪化をもたらすという結果にもなりかねません。
そこで、賃貸経営全般をお任せするために、良い管理会社を選ぶという事が大事となってきます。管理会社と一言でいっても、その運営は様々です。高入居率を誇る不動産会社、物件のメンテナンス提案力が高い会社、顧客の信頼度が高い会社等・・・。途中での管理会社変更ももちろん可能なのですが、入居者様の負担(家賃口座の変更や問い合わせ先の変更など)も大きいことから、できる限り管理会社の変更は避けたいところです。
松山市の賃貸の会社様としましては、ハウスメイト様、三福様(アパマンションショップ)、愛媛建物様、アート不動産様(アパマンショップ)、レーベンコミュニティ様(Minimini)、NYホーム様(エイブルネットワーク)、杉住宅様、アメニティハウス様、一宮興産様(アパマンショップ)が挙げられるかと思います。また、自社直接仲介力以上に地元仲介業者様に積極的に斡旋依頼を行われているのが、大東建託様、東建コーポレーション様、ダイワリビング様、積水ハウス不動産様あたりとなっています。
弊社は、不動産の仲介業務は行ってございませんが、専属の宅建士・賃貸不動産経営管理士が公平・公正な目線でアパート経営における管理会社選びの無料アドバイスを行っております。これからアパート経営をはじめらる方、現在アパート経営でお悩みを抱えていらっしゃる方、遠慮なく弊社をお訪ね下さい。なお、税務等の資金面でのご相談については最寄りの税理士にご相談ください。

第4章 賃貸経営の収支を管理できるのは家主だけ ▼

賃貸経営の収支を管理できるのは家主だけ

マンションやアパートを建設後すぐに経営管理が始まります。大半のオーナー様は個人事業主として、もしくは法人としての経営となりますが、特に青色申告を行う場合、様々な優遇が受けられるのはご存知の事と思います。
賃貸アパート運営では、経費の管理が重要になってきますが、オーナー自主管理の場合はご自身で収支を計上していくようになります。また、管理会社に管理を委託している場合にも、管理に関わることに関しては毎月報告書が届きますので、その書類を保管しておいて、毎年確定申告で使用するようになります。
賃貸管理における収支報告以外にも、ローンに関する経費の申告など管理会社では把握していない項目はオーナー様ご自身で申告しなければならず、必ずしも毎月の収支報告書だけで終わりとはなりません。どういった税制優遇を受けられるか等、不動産管理会社で細かく指南してもらえるというのは稀ですので、オーナー様ご自身で税理士にアドバイスを頂きながら申告をするようになります。地域によっては、商工会議所会員であればアドバイスをしてもらえる事もあります。ですので、管理すべてを任せられるといっても、100%ではない事、何もしなくても自動的に確定申告が終わるわけではありません・・・という事になります。
出来るだけ経費をかけたくないという方は、ご自身で税務を勉強されて、貸借対照表・損益計算書の計算も無料のソフトを用いて記録していく等の工夫で経費を最小限に抑えて確定申告に備えるといった方もいらっしゃいます。
ちなみに、賃貸の空室対策でいつも相談を頂くあるオーナー様は、喫茶店や、飲食店での食事代をすべて接待費として経費計上されますので、必ずお店から領収書を頂いていますし、旅行に行く際も、例えば芸術作品や美術館の見学を賃貸経営の勉強と称し、空室対策の為のインテリアコーディネート学習として旅費の一部を経費計上されるオーナー様もいらっしゃいます。
最初の頃は、勉強だと思って出来るだけご自身で確定申告を行うというのも良いのではないかと思います。

第5章 全国でも最も賃貸経営の厳しい愛媛県 ▼

全国の中でも賃貸経営の厳しい愛媛県

ある統計において全国の1LDK相当の家賃相場ランキングで、
1位 東京都  19.12万円
2位 神奈川県 10.94万円
3位 大阪府   9.66万円

と続き・・・
45位 岐阜県  4.92万円
46位 宮崎県   4.9万円
47位 愛媛県  4.48万円
つまり、愛媛県は全国で最も家賃が安いという事になります。
ひょっとすると・・・家賃が安い=生活が安定する=独身女性全国1位という自虐的アピールにつながっているのかもしれません。男性が比較的大人しいという県民性によるところが大きいと思いますが・・・
賃料が安いだけではなく、その入居率の低さによる逆相乗効果で愛媛県でのアパートマンション経営は厳しいと言わざるを得ません。
今後人口も減少していきます。特に若い世代の出生率が低い上に、進学・就職で都心部へ離れていきますし、核家族化が進んで高齢化していく過程で、独居生活となる老齢者が増加し続けることも予想されています。
また、離婚率も3割を超え、愛媛県でも再婚希望者の婚活サイト登録が活況を帯びています。
1LDKの賃料が安いので、それ以外の間取を・・・と考えるのもまた尚早です。
実は、HOMESの統計では、2DKや3DKよりも1LDKの方が家賃が高いという事がわかっています。このデータに関しては、恐らく2DK/3DKの物件が比較的古く家賃の下落が続いている事と、平成初期ごろまでの間取が2DK/3DKが多く空室率が高くなりつつある事、生活スタイルの変化で世帯から単身化する傾向が続いている事、ミニマリストが徐々に増えつつある事など複合的な要因が絡まって形成されている為であると推測できます。また、3LDKにおいても、賃貸物件の歩留まり率が悪い理由として、新築マンションや新築一戸建への住み替えという環境変化を受けやすい事もそのリスク要因と言えます。
よって、エリアによって郊外はファミリー物件、街中は単身物件と言う「建て分け」も必要ながら、そのエリアに強い不動産管理会社にお願いするというのがMAST条件になります。
エリアや家族構成に関係なく斡旋力のある、ハウスメイト・三副総合不動産、郊外で比較的安い物件斡旋力のあるアート不動産、ペット飼育条件で物件数の豊富な杉住宅、愛媛県広域に斡旋力のあるアメニティハウス、学生街に集客力のある愛媛建物、全国のネット網を駆使して斡旋が可能なエイブル各加盟店等、オーナーご自身の所有する物件力と物件状況がどの不動産管理会社に適しているのかを把握したうえで斡旋依頼・管理依頼を行うのが良いのではないでしょうか。

第6章 紙面掲載の中古物件には手を出さないほうが無難? ▼

紙面掲載の中古物件には手を出さないほうが無難?(R4年1月)

昨日の事ですが、ある売買仲介をメインにしている不動産会社様の社長とのお話しで、投資用(賃貸)不動産物件は持たないとおっしゃっていました。その理由を聞くと、市場に売買に出されている物件に魅力を感じないからとの事。利益が上がっている場合、よほどの理由がない限り物件を売却に出さないので、いわゆる売りに出されている=低資産物件には興味がないとの事でした。
アパート経営必勝本なる書籍が賑わいを見せている中、多くの投資指南書で目にするのが建築25年前後の物件を格安で仕入れて、少し手を入れて貸し出すというものです。特に木造であれば、築22年を迎えたころから、固定資産税評価額も底価となり、その価値レベルから安価に物件を仕入れることが可能になります。
ところが、この類の本は、そのほとんどが都心部もしくはその近郊でのお話です。日本の国土の90%以上を占める地方の成功バイブルでは決してありません。
では、地方で築25年レベルの物件を購入するとどうなるか・・・都会と地方の物件でどのようなに差が生まれてくるのか。それは、家賃帯と空室率に関係してきます。
今後人口も減少が顕著化する中、不動産経営(特に箱物)は悲惨な状況を迎える事になるのが想定できます。
不動産業者の広告では、満室想定時の収益率をアピールしていますが、そもそも人の集まる都会と、過疎の進行している地方では人の流動量に違いがあります。入居率と空室から入居が決まるまでの期間について最も顕著にあらわれます。地方都市の場合、空室が2~3年続くというのも珍しくはありません。
もう一つは家賃帯です。新築時の建築費は都会も地方も大きな差はありません。家賃差はというと、地価と固定資産税の差です。土地の固定資産税に関しては、建物付属で減免措置があります。よって、その差というのは地価によるところが大きいのです。例えば、新築時の地方での建物1、土地1の価値とします。 都会では建物1、土地3とします。地方での合計価値は2。対して都会での価値は4という事で、その価値も倍となります。年月が経過し、家賃が減額され、建物価値が0となってしまった場合の物件価値は土地代の1(家賃半額計算)に対して都会では、建物価値0でも土地価値3は残ります。つまり家賃減額は4分の1に抑えられます。
銀行借り入れを行った場合の返済プランでみると、満室想定の50%物件では非常に厳しいという事が言えます。一方同じ厳しさでも75%を確保できる都会であれば、借り換えなどで何とかなるケースが多いのも事実です。
また、リフォーム代を家賃で回収できないという問題も発生します。
築35目を迎えたワンルームマンションでの実際のお話ですが、地方で家賃月額16800円(都会では同レベルで家賃45000円で)募集されています。さすがに古さは否めず、リフォームを行う事になりますが、一部屋当たりのフルリフォーム(リノベーション)で大方200万円ぐらいかかるとします。家賃をUPで来たとしても、せいぜい20,000円ぐらい。そのリフォーム代の回収に何と8.3年間も。一方都会では家賃を54,000円にUPしたと仮定して3.1年で回収できます。つまり地方では8年間もの間無収入と同じことが言えるのです(部屋はきれいになりますが)。リフォームを行わず家賃ダウンのみの対応だと、値下げ合戦を助長するだけで状況は余計に深刻になります。
これでは、とても賃貸経営など成り立つはずもなく・・・
地価が安い地方で経営をうまくまとめられるのは、新築からの長いスパンで資金を回収できるかどうか見極め、目先の利回りだけではなく、立地や物件力を重視した投資であるかどうかというのがとても重要になってきます。
物件価値が下がり、一瞬純利回りが良くなっているかのように見える中古物件は実は、「金食い虫」の低価値物件という事が言えるのかもしれません。

第7章 所有物件は常に管理できる距離で ▼

不動産経営を行う上で、重要になってくるのがオーナー様と物件の距離です。距離というのは物理的な距離と精神的な距離がありますが、この2つは非常にも密接な関係を持ちます。例えば、集合ポストから溢れ、エントランスに散乱するポスティング広告。不動産会社に管理を任せていても、それら共用部分のゴミを片付けるのはオーナー様が管理会社を介して契約している定期清掃会社であり、また、物件案内やメンテナンス等管理会社のスタッフです。
ところが、定期清掃というのは読んで字のごとく、定期的な清掃業務として週に1度ぐらいが一般的です。また、管理会社のスタッフも他にたくさんの管理物件を預かって巡回している関係上毎日というわけにはいきません。特に週末になると投函広告も増えてきますし、たった1日で・・・ということも珍しいことではありません。
そういったチラシが散乱している物件と、毎日きれいに清掃されている物件では、お部屋を現地内見されるお客様の印象も違ってきますし、入居者様も不用品を自分で部屋まで持ち帰ってきちんと処分されるようになります。
そういった共用分(特にエントランス)がきれいに保たれている物件の多くは、実はオーナー様が近隣に住まわれている、もしくは同一物件に住まわれているケースが大半です。お客様の中にはオーナー様が近くにいらっしゃることに対してナイーブに感じられる事もわずかにはございますが、しかしながらそれ以上にお部屋探しをされている方、入居者様、そしてお部屋に遊びに来られたご友人など、相対的にその心象が良いことのほうが多数です。
自己所有物件が物理的に近ということは、物件に対しての思いも強くなり、ほんの些細な不具合やトラブルに関しても見過ごすことなく、結果早期改善につながっていきます。また、メンテナンスに関しても不動産会社に一任するのではなく、自分で信頼できる業者と直接交渉して経費の節減に努めるというのも、収支の改善に役立つことでしょう。
 入居率に関しても、例えば近隣で満室が続く物件はどのような設備や家賃なのか・・・自分で調査し、自己所有物件の入居率改善にどういう対策を取るべきか、まずはご自身で関心を持つことです。
管理会社によっては、十把一絡げの提案(どこのオーナー様にも同じような提案)に終始する可能性もあり、これでは、近隣物件との差別化が図れない=ただ近隣と同じことをしているに過ぎないのです。よって管理会社スタッフの提案だけに頼りすぎない事、ご自分で見て判断する、その判断がつかないなら他の管理会社にアドバイスを求めるという事もまた入居率改善につながってくるのではないでしょうか。

マンション・アパートの管理はプロに任せ、しかしその運営に関してはできるだけオーナー様も関わる。それによりアパートの上手な資産運用につながっていきます。

ただし、くれぐれも物件の入居者様とは一定の距離感を保つようにしてください。口うるさいオーナー様と思われ、物件の印象が悪くなることを防ぐためにも・・・。

第8章 家賃を下げるタイミング▼

愛媛県の投資物件の家賃は、不動産管理委託を行っている場合プロパティマネジメントスタッフと店舗スタッフにより地域相場制で決められるケースが多いです。投資物件にはオーナー様の想いが込められており、本当に素晴らしい物件もございますがしかし、不動産管理会社側からみると数万戸ある賃貸物件のうちの一つにすぎません。よって、オーナー様の想いも十把一絡げになってしまうことが多々あります。オーナー様は計画段階から資産運用と返済計画のもと、想定家賃を計算して決められますが、実際の相場はその瞬間の交渉や不動産スタッフの近隣相場感にて決まってしまうことも多く、オーナー様の返済計画などはほぼ無視されている事も。そのため、いかに計画段階から個性を際立たせる物件を目指すかということがとても重要になってきます。
少子化や賃貸物件の増加により、いわゆる「箱物」と呼ばれる集合マンションはコストが増大するばかりで収益が見込めない事が多いのも現実です。
愛媛県では、賃貸物件が飽和状態であり、自己所有の集合マンションの部屋同士でさえ競合してしまうという現象が起こっています。しかも、新築時でも家賃交渉が行われており、オーナー様にはとても厳しい現実が待ち受けております。中にはオーナー様自主管理物件の新築マンションの入居者募集において、不動産仲介業者から「家賃を5000円下げたら決まる」という交渉が持ちかけられたり・・・つまり、仲介業者にとっては、オーナー様の経営よりも入居者利益を優先することで、仲介料を獲得でき、さらに融通が利くオーナー=家賃値下げ交渉が恒常化してしまうという側面もありますので、オーナー様も毅然と対応する事が求められます。
そうはいうものの、希少価値の高い物件、ライバルの少ない物件については新築当時の家賃のまま10数年経過後も変更なしでも満室を確保できている場合もございます。そういった人気物件については、通算入居率90%以上を確保するうえで、単身物件で4か月、世帯物件で7か月空室が続くようでしたら、早急に家賃の値下げを相談してみるのが良いかと思われます。また、お部屋の問い合わせが多いものの全く決まらず家賃相談すらないという場合は、近隣より明らかに物件力が劣っている事が多いため、物件力を向上させるのかそれとも賃料を大きく下げるかの対応が迫られます。
また、リフォームを行い物件価値が向上したため家賃の値上げが可能なのは、地価が高く不動産の自己所有率が低い賃貸依存度の高い都会の場合です。地方では逆に物件数に対する部屋探しをされている方の比率が低く、家賃の現状維持の(つまり家賃据え置きで入居率UPを目指す)ケースが多いため、よほどの大規模なリノベーションが敢行されない限り家賃を上げることは難しいのです。さらに、不動産管理会社スタッフもリフォームを提案して高額のリフォーム代をかけたにも関わらず、入居率が改善しないリスクよりも家賃を下げることのほうが簡単で責任回避しやすい傾向にあります。特にリノベーションになると、スタッフのレベルやデザインセンスに左右されますので、ハイレベルな物件力向上提案をされるケースは相当のスキルを持った不動産会社に限られてしまいます。

近隣相場を調べ、同じ地域の同じようなグレードでどのくらいの家賃帯なのか常にアンテナを張っておく必要性があります。ちなみに、インターネットで調べる際、空室募集がかかっている物件の家賃はあまり参考としないほうが良い可能性もあります。常に空室が続いている物件は、近隣家賃相場に対して見合っていないケースもありますので、地元不動産業者と大手不動産会社の愛媛支店の両方に相談してみるのが良いかと思います。

第9章 退去清算処理は家主の言い分は通らない▼

H10に施行された少額訴訟裁判制度。弁護士費用を除く訴訟手数料(印紙代)が6000円以下と安易に裁判を起こすことが出来るようになり、退去時の原状回復をめぐるトラブルでの裁判も増えたという事をよく耳にします。特に、毎年変わる不動産の法律にオーナー様が対応できていないケースが非常に多く、さらに不動産管理会社に毎月手数料を支払い管理を委託している場合でも、そのようなトラブルは起こります。

現行法では、例えばそれが民法なのか宅地建物取引業なのか、それともそれ以外の法律なのかによりその解釈のずれもありますが、特別法が優先される原則があり、経済弱者保護の観点から、退去者側のほうが強くなることもしばしばです。

以前は法律は判例を知らなかったという方も多く、オーナー様(不動産業者)にいわれるがままに退去清算をなされたケースが大半でした。近年ではネット情報も多く紹介されており、国交省による原状回復ガイドライン等で、ある程度の線引きがなされたことにより、益々オーナー様の法的立場が弱くなってしまっている事が伺えます。

以前はオーナー様の意思が通ったのに、今は通らないといったケースが大半です。このことが家主経営の収益を悪化させている一因でもあり、そのために、リフォーム等によるランニングコストを考慮したアパート経営を行うという判断が大切になっています。

また、訴訟になった場合、オーナー様の意思を押し付けても、よほどの入居者様による悪意過失がない限り、通常生活における過失レベルで裁判でオーナー様有利になる事はあまりありませんし、仲介してもらえる不動産業業者の担当から、扱いにくいオーナー様とレッテルを張られ、入居募集に対し消極的になってしまうことも多々あります。

無益に長引かせるより、次の入居者募集に切り替える方が得策であり、そのためにも行法に精通した不動産管理のプロにお願いするべきです。また、各不動産業者は大方顧問弁護士がいますので、オーナー自らが直接弁護士に依頼し高額な報酬を支払うよりも、不動産業者の担当者に相談する方がよほど経済的で賢明であるという事が言えます。

第10章 管理会社に管理を丸投げしない?できる範囲での協力を▼

入居者様のストレスの一要因として、同じマンションに家主様が住まわれている事が指摘されます。厳しい家主様だったら色々注意されそうとか、生活を干渉されそうとか・・・しかし、実際家主様が同居しているマンションに住まわれている方に伺うと、いつも野菜を頂いたり、困っているときに助けてもらったり気にかけてもらったりと、おおむね好評なことの方が多いです。住む前と住んでからの印象が変わる事も多く、実際お部屋の中での事は基本相互不干渉であり、共用部分で家主様に注意されるというのはよほどのことがない限り起こり得ません。


ただし、建物の維持という面に関して、その建物に積極的に関わる方が良い場合があります。例えば、建物の不具合の早期発見。建物の状態をより良く維持するためには、管理会社に依存しすぎない事も大事です。管理会社からすれば、数千、数万戸あるうちの1物件にすぎず、家主様以上に愛情を注ぐという事はほとんどありません。ただし、第7章でも申しましたが、家主様は最強の営業マンでもあるわけですから、思った以上に管理会社様や入居者様にとって圧力になりやすい点には注意が必要です。

結果的には、犯罪の抑止であったり、家賃の滞納防止であったり、入居率の維持や物件の不良個所の早期発見、そして不動産会社の方が紹介でお客様を連れてこられた際の挨拶による印象UPとお部屋を決めなければという使命感など、オーナー様の目に見える化は非常に良いことだらけなのですが、できるだけ入居者様個人には不干渉、物件には積極的に干渉というWスタンスで建物管理をして頂きたく思います。

また、管理会社様に任せるのではなくご自身が気付いた不良個所を自主的に修理するというのは、経費削減にもつながります。管理会社様の請求となると、業者様の原価に利益を載せてオーナー様に請求されることが多く、そのマージン率も10%~20%にもなります。ご自身でこまめに修理を行うことで、修復履歴の管理であったり、将来的な修繕計画を立てやすく、経費の削減に大きく貢献します。ここまでお話してしまうと、管理会社様の利益相反となってしまいますが…(苦笑)。

第11章 サラリーマン投資の単身用中古分譲マンション購入待った!(重要)▼

最近、中古ワンルーム分譲マンション販売として200万円台で売買募集されているのをよく見かけます。
不動産会社の担当者様に伺うと、購入される方の多くは、低資本で不動産投資を始めたい方や比較的若い方、サラリーマンの方が多いという事です。

ところが、安いからと言って安易に手を出さないほうが良い物件も多くございます。

分譲賃貸というのは、そもそも持分の土地よりも建物の価値の方が大きいケースが多いのですが、こういう物件は賃料単価の高い都会向きと言えます。
例えば、松山市において築年数35年の8帖ワンルームが諸費用込みで200万円台で販売されていたと仮定します。家賃帯でおおよそ3万円ほど。そこから管理料・修繕積立金・賃貸管理料等を差し引くと約22,000円ほどになります。
さらに、投資用ワンルーム物件は駐車場が確保できないケースが多く(1室に1台分確保されていない)、賃貸募集では駐車場がないため、圧倒的に不利な状態となります。
築年数を考えると、募集限界年数が差し迫っており早期客付けが思うように進まず大幅な家賃ダウンを余儀なくされ、さらには空室でも管理料・修繕積立金を支払い続けないければならず、利回りが当初の予定通りうまくいかないことでキャッシュフローが悪化することもしばしばです。昨今の物価上昇により修繕積立金のUPなども現実化している事から、安価な投資物件の購入は慎重に行うべきです。